前回に引き続き、ハートの名盤の紹介です。
今回は80年代に入り、一度低迷したハートが再び第一線に復活するきっかけとなりました
セルフタイトル作「ハート」について紹介します。
①基本情報
1)タイトル HEART(ハート)
2)プロデューサー ロン・ネヴィソン
3)リリース年 1985年
4)セールス順位 全米1位
②曲目
1)イフ・ルックス・クッド・キル
2)ホワット・アバウト・ラブ
3)ネヴァー
4)ジーズ・ドリームス
5)ザ・ウルフ
6)オール・アイズ
7)ノーボディ・ホーム
8)ナッシング・アット・オール
9)ホワット・ヒー・ドント・ノー
10)シェル・ショック
③アルバム全体的な事
キャピトル移籍後の第一段で、ハートにとっては復活作となります。
80年代前半、ハートは解散説すらささやかれるほどの低迷状態でありましたが、この作品のヒットにより完全にシーンの第一線に復活しました。
このアルバムをぬきにしてハートは語れません。またこのアルバムがなければハートはとっくに消滅していたでしょう。現在のハートの地位はこのアルバムによって作られたといっても過言ではありません。
内容は、今までとはかなり変わっています。
サウンドはキーボードやシンセサイザーを前面に出し、70年代よりメロディアスでポップとなってます。プロデューサーに当時売れっ子であったロン・ネヴィソンを起用し、また外部ライターによる曲を多く取り上げ(10曲中6曲が外部ライターの曲)、売れるアルバムを意識して取り組んだことがわかります。
デビュー10年目にして、アルバムタイトルにバンド名をもってきた所が、起死回生の気合や意気込みを感じさます。その努力のかいあって、アメリカで500万枚以上のセールスを記録し、初の全米1位と言う快挙を成し遂げました。
シングルカットした曲も初の全米1位を含む4曲がトップ10にチャートインしました。
とにかく名曲、佳曲ぞろいのアルバムで捨て曲がいっさいなく、どの曲もシングルカットできるほどです。
また、アルバム全体もコンパクトにまとまっており、どの曲を聴いても適度にハードで適度にポップな洗練されたサウンドが魅力です。
まさに上品でノーブルで洗練されたハートのイメージに一番しっくり来る名作です。
まさに80年代を代表する名盤といっていいでしょう。
このアルバムの成功により80年代後半の路線が確定され、本作品と「バッド・アニマルズ」「ブリゲイド」で全盛期ハート3部作となります。
ハートのオリジナルアルバムを初めて聞く場合、ハードロックファンなら「ブリゲイド」を薦めますが、それ以外の人にはまずこの「ハート」を薦めます。
④曲紹介
1)イフ・ルックス・クッド・キル
アルバムの冒頭を飾るのにふさわしいハードロックナンバー。音が軽めだがハードエッジな曲でコンサート向けです。シングル5弾としてカットされ、チャートは米54位となりました。
2)ホワット・アバウト・ラブ
ハートが得意とするパワーバラード。ファースト・シングルカットの曲で全米10位とハートとしては久々のヒット曲となりました。
アンのヴォーカルがホントに冴え渡っており、アンは女性ロックボーカリストの最高峰であることがこの曲で証明されています。
ビデオクリップでの熱唱する姿も印象的です。コーラスにはグレース・スリックとミッキートーマスが参加してます。なお、日本でも浜田麻里がこの曲をカバーしています。
3)ネヴァー
ホリー・ナイト作のキャッチーなポップバラード。キーボートサウンドの音が心地よいです。
これもまたメロディが印象的で一度聴くと頭から離れません。チャートは米4位を記録し、ハートの復活を決定づけました。
4)ジーズ・ドリームス
ナンシーがリードボーカルをとったメロディアスで美しいバラード。サード・シングルで初の全米No.1を記録しました。
ビデオ・クリップでのナンシーの姿、本当にあでやかでした。あまりの美しさにクラクラっときた人もいるのではないでしょうか。
またメロデーも一度きいただけで覚え頭から離れません。問答無用の名曲でです。
「アローン」が失恋ソングNo.1ならこの曲は失恋癒しソングNo.1なのではないでしょうか。
初の全米No.1の曲のリード・ヴォーカルがナンシーということでアンとしては少し複雑な心境だったと思います。
しかしアンがバックでサポートしているところを見ると、あ-やっぱり美しい姉妹だなとほほえましく思いますね。
5)ザ・ウルフ
ハートのメンバーの共作。洗練された作品の多い当アルバムなかで荒削りさがやや感じられるハードロックナンバー。
歌詞も「しつこく付きまとう男にたいして、ひじてつを食らわせる」内容で、ウイルソン姉妹らしいなと思ってしまいます。
6)オール・アイズ
ギターイントロが美しいハードロックナンバー。
ハードな中にもメロディアスでコーラスが美しいです。
7)ノーボディ・ホーム
キードードをフィーチャーしたバラード。ほのぼのとしていて癒される曲です。
ギターソロの美しさも印象的です。
作曲はウイルソン姉妹自身です。
8)ナッシング・アット・オール
軽快なポップロックナンバー。
アンが気持ちよさそうにのびやかに歌っているのが印象的です。
コーラスもGOOD。シングル第4弾としてカットされ、全米10位にチャートインしました。
9)ホワット・ヒー・ドント・ノー
作曲はウイルソン姉妹自身の、ポップナンバー。
このアルバム中一番イマイチな曲のような気がするのは残念です。
10)シェル・ショック
アルバム最後を飾るにふさわしいハードエッジのきいたナンバー。ギターが全面に出ておりソロもかっこいいです。
アンのヴォーカルもパワフル。このような曲もやるから、ハートは単なるポップバンドと甘くみてはいけなません。作曲はウイルソン姉妹自身です。