去年発売された陰陽座の新譜、「迦陵頻伽」(かりょうびんがと読む)のレビューをいたします。
①全体的な感想
一周しての全体的な感想だが、4作前の「金剛九尾」の路線、すなわち楽曲の良さのみで勝負する路線、また陰陽座らしい楽曲を提供するという基本路線に戻ったような印象です。(もちろんいい意味で)
陰陽座としては、「金剛九尾」で一応完成の域に達しました。
その次作の「鬼子母神」は、鬼子母神のストーリーを基にする陰陽座初のコンセプト・アルバム。
その次作は「風神界逅」、「雷神創世」というそれぞれ(2枚組のなかの1枚ずつでなく)独立した作品を同時発売しました。
なんとか、マンネリを打破しようとして、新機軸を打ち出そうとしていたようです。
しかし、その3作品とも、作りこみすぎ、凝りすぎのような感じがして、陰陽座らしさとか楽曲そのものの良さが、後退した感じで、今一つ好きになれませんでした。
ミドルテンポのタイトルナンバーから始まって、(たぶん二曲目は疾走ナンバーだろうと思って聴いていたのだが)、間をいれず、予想通りの疾走ナンバー、また3曲目も疾走ナンバー、これぞ陰陽座です。
オイ、オイとこぶしをふるいたくなるこのグルーブ感。ワンパターンとかマンネリとか予定調和とか言われようが、陰陽座はこれでいい!
②曲目紹介
1.迦陵頻伽
シンフォニックなミドルテンポのナンバー、瞬火のベースラインが印象的
2.鸞
これぞ、陰陽座という感じの疾走ナンバー。ヴォーカルは黒猫のみ
3.熾天の隻翼
前曲に引き続いての疾走ナンバー。黒猫と瞬火のツインボーカル。やはり黒猫と瞬火
の掛け合いは、いつ聴いてもかっこいい。
4.刃
これも、疾走ナンバーだが、比較的ポップでメロディアス
5.廿弐匹目は毒蝮
6.御前の瞳に羞いの砂
7.轆轤首
8.氷牙忍法帖
9.人魚の檻
10.素戔嗚
11.絡新婦
黒猫のヴォーカルが光る、哀愁のバラードナンバー。陰陽座はこのような曲もあるから
年配者の鑑賞にも耐えうる。
12.愛する者よ、死に候え
シングルカットされたナンバー。この曲もいいが、先にシングルカットするのは上記2.か3.
のほうかなと思ってしまう。
13.風人を憐れむ歌