ウィズイン・テンプテーションについて、前回は主にバイオグラフィーを紹介していきましたが、今回はディスコグラフィー他を紹介していきたいと思います。
①ディスコグラフィーとおすすめアルバム
1)オリジナル・アルバム
1997年 エンター
2000年 マザー・アース
2004年 サイレント・フォース
2007年 ハート・オブ・エブリシング
2011年 ジ・アンフォーギブン
2014年 ハイドラ
2)ライブ・アルバム
2008年 ブラック・シンフォニー
2009年 アン・アコースティックナイト・アット・ザ・シアター
3)EP
1998年 ダンス
2007年 ハウリング
** おすすめアルバム ***
上記のアルバムのなかで、なんといってもおすすめは、2NDのマザー・アースと
サードのサイレント・フォースです。
美しく優しいメロディの曲、ナイチンゲールの声といわれたシャロンの歌唱など魅力満載で、まさに、フィメールゴシック・メタル、フィメールシンフォニック・メタルのお手本であり、聴く人を甘美な世界に引き込むでしょう。
また、ナイトウィッシュほどオペラ色が強くなく、曲展開も大げさでなくまたコンパクトにまとめられているため、フィメールゴシック・メタル、フィメールシンフォニック・メタルを始めて聴く人にとっては、むしろナイトウィッシュよりおすすめです。
②音楽的な変遷
まず、ファースト・アルバムのエンターでは、男性デス声入りのゴシックメタルとして、デビューしました。
次のマザー・アースでは、男性デス声をなくし、メロディ、歌唱とも格段に向上し、ケルティックな要素も追加し、フィメール・ゴシックの道しるべとなりました。
続くサイレント・フォースでは、さらに、シャロンの歌唱もパワー・アップし、サウンドの厚みを増しオーケストレーション技術も向上して、フィメール・ゴシックメタルとしては完成の域の達しました。
ハート・オブ・エブリシング以降はアメリカを意識したのでしょうか?しだいに、ゴシックの要素が後退し、より普遍的なメロディアス・ロックの要素が多くなっていきます。
ハート・オブ・エブリシングでは、まだ幾分ゴシックの要素が残っていましたが、ジ・アンフォーギブン以降はもはやゴシックメタルとは言えないでしょう。
③メンバーのアメリカの音楽シーンへの憧れとその影響について
ウィズイン・テンプテーションのメンバー、特にシャロンは80年代のアメリカのミュージックシーンへの憧れがあり、その影響を受けてます。
80年代のアメリカのミュージックシーンでの女性ヴォーカルロックとしては、まずハートが思いつきます。
シャロンはハートについては特に言及はしていませんが、ハート・オブ・エブリシングのフローズンという曲は、もろに80年代のハートという感じの曲で、公言しなくてもハートからの影響は十分うかがえます。
そのようなことから、フィメール・ゴシックメタルから普遍的な女性ヴォーカル・ロックへの移行も早くすんなりといったのだと思います。
④ウィズイン・テンプテーションが後世に与えた影響
いちゴシックメタルバンドとしてデビューしたウィズイン・テンプテーションは、正統的なフィーメール・ゴシックメタルを完成させました。
次は、より普遍的でメジャーな音楽性で、世界的なバンドとなり、ゴシックメタルや女性ヴォーカルロックを世界的にメジャーにさせた面での功績は、少なくともナイトウィッシュやエヴァネッセンスと同等、いやそれ以上かもしれません。