今回は、ゴシックメタル黎明期において、オランダで、始めて女性ヴォーカルを採用し、フィメール・ゴシックの元祖として、オランダのみならず、後世のフィメール・ゴシックメタルシーンに影響を与えたギャザリングについて紹介します。
そこで。今回の記事は主にバイオグラフィーを紹介していきます。
①はじめに
ギャザリングは、先に記述したナイトウイッシュやウィズイン・テンプテーションやシアター・オブ・トラジディをひと通り聴いたあとで、フィメールゴシックの確立に関して重要なバンドということで、聴くようになりました。
やはり、力強さと美しさの両方を備えた、アネクの歌声は魅力的ですね。
②バイオグラフィ
1)結成~デビュー
1989年、オランダのオスという小さな町で、ハンス・ルッテン(ドラム)、ルネ・ルッテン(ギター)のルッテン兄弟とバルト・スミッツ(ヴォーカル)で結成されました。翌年の1990年にフーゴ・プリンセン・ヘーリフス(ベース)、ルマー・ヴィールスマ(ギター)、フランク・ブーイエン(キーボード)が加入し、最初のラインナップが整いました。
デモテープの作成をへて、1992年、インデーズから「オールウェイズ」゙が発表されました。売り上げは一万枚を超える、またアメリカでも発売されました。
このころの音楽性は、ヘビーなギターリフにピアノが絡み、デス・ヴィオスが乗るような典型的な初期のゴシックでした。
また、このアルバムに伴うツアーも開催されましたが、その頃から、あくまで、コアなサウンドにこだわるバルトとよりポップで大衆的な方向にシフトしようとする他のメンバーとの対立することとなり、その結果バルトは脱退してしまいます。
そこで、ニールス・ドゥフューズとマルティニー・ファン・ローンという男女2人を加入させて、セカンドアルバム「オールモスト・ア・ダンス」を発表するも、そのラインナップはそこで終わってしまいます。
2)アネクの加入とそれにともなう躍進
そこで、メンバーは、男女2人のヴォーカリストを探していましたが、ある日のこと、小さなバーで歌っていたアネク・ヴァン・ガースバーゲンを見出し、声を掛けました。アネクの独特の雰囲気とヘビーなバックに負けない声量と堂々とした歌いっぷりに、男女2人のツインヴォーカルでなくてもいいのではないか?と思い、紅一点のヴォーカル体制となりました。
まず、アネクのヴォーカルが入ったデモを作成し、大手のセンチュリー・メディアレコードとの契約にこぎつけます。
そこで、サードアルバムで傑作の「マンデリオン」を発表します。この作品はゴシックメタルの主役を女性ヴォーカルとし、堂々とバックを引っ張っていくスタイルで、後世にかなり影響を与えました。
まさに、アネクにはまるで高台から国民に対して演説している女王様のような威厳を感じさせます。
1996年には、それともなう、ツアーに明け暮れ、またシングルも次々ヒットしブレイクを果たしました。
またツアー中も次のアルバムの曲作りも行い、1997年に傑作「ナイトタイム・バーズ」を発表します。
3)ゴシック・メタルからドリップ/アンビエントヘの音楽性の変更
前述の「マンデリオン」、「ナイトタイム・バーズ」はいずれもフィメール・ゴシックの歴史に残る名作でした。しかし、以降次第に脱ゴシックを図っていました。
まず、オリジナルのギタリストであった、イエルマー・ヴィールスマが1998年に脱退します。理由は家族と離れてのツアーに疲れたことと、エンジニアとして裏方にまわりたいということらしいですが、その後の情報がなく、詳細は不明です。
彼の脱退により、ツインギターによるヘビーなサウンドは不可能となり、それにともない、フランク・ブーイエンのキーボードの重要性が増し、しだいにメタル色が薄くなり、ドリップ/アンビエントヘの方向にシフトしていきます。
その、同年に5th「ハウ・トウ・メジャー・ア・プラネット」を発表しました。
かなり前作とは音楽性が異なり、かなりドリップ/アンビエント寄りとなっています。
その後、始めてアメリカにわたるような大規模なツアーも敢行し、1999年にようやくバンドとして初の長期休暇が取れるようになりました。
2000年には6th「イフ・ゼン・エルス」が発表され、前作で残っていた、メタル色が完全になくなり、ドリップ風味のゴシック・ロックとなりました。
2001年に入るとクラブでライブしたり、南米でのツアー行うようになりました。
しかし、そのころになると、所属するセンチュリー・メディア・レコードとの亀裂が深まり契約解消となります。
2003年、自主レーベルで7th「ソウヴェニラス」を発表します。この作品はゴシックとさえ言えない音楽性になりました。
2004年にセンチュリー・メディア・レコードとの関係が復活しますが、オリジナルのベーシストであったフーゴ・プリンセン・ヘーリフスが脱退します。理由は音楽性がドリップ/アンビエント寄りとなったため、自分の出番が減ったことです。
代わりに、女性ベーシストであるマリョライン・コーマインが加入しました。
2006年に8th「ホーム」が発表されましたが、メロディーが全く変わり、オルタナティブ・ロックのような アンビエントで無機質な世界が広がっています。
2007年には、大規模なツアーが敢行され、同時にアネクのソロ・プロジェクトもスタートしました。
4)アネクの脱退から現在まで
2008年には、アネクとして、家族のため、また自身のソロ・プロジェクトのために時間を使いたいということで 脱退を表明し、アネクさよならツアーも行われました。
アネク脱退、早速オーディションが行なわれ、2009年にシェリ・ヴェルヘラントが加入し、同年に9th「ザ・ウエスト・ポール」、2012年に「ディスクロージャー」、2013年に「アフターワード」を発表し、現在に至っています。シェリはアネクの後任者として、しっかり歌っています。
現在のメンバーを整理すると以下の通りです。
ハンス・ルッテン(ドラム)
ルネ・ルッテン(ギター)
フランク・ブーイエン(キーボード)
マリョライン・コーマイン(ベース)
シェリ・ヴェルヘラント(ヴォーカル)
*** 今回はおもにバイオグラフィーを記述しましたが、次回はディスコグラフィー他の予定です。お楽しみに ***