女性ヴォーカルのゴシックメタル、シンフォニックメタルはヨーロッパでは人気のある音楽ジャンルの一つとなっていますが、日本での人気はいま一つです。
例えば、ナイトウィッッシュは本国フィンファンドを始め、ヨーロッパや南米ではアリーナクラス、日本武道館クラスの箱を一杯にするほどの人気ですが日本では200人がやっとのライブハウスでがメインの箱となっています。
なぜ、日本では女性ヴォーカルのゴシックメタル、シンフォニックメタルがなぜ売れないか、ゴシックメタル全般が日本では浸透しない、また女性ヴォーカルメタルの人気がいま一つかの2点で書いていきます。
①ゴシックメタル全般(男性ヴォーカルを含めて)が日本で浸透しない理由
まず、ゴシックメタルの持つ世界観から説明します。
ヨーロッパではキリスト教文化であり、キリスト教で育ったヨーロッパ人は、大なり小なり「原罪感」という心の闇があります。
ヨーロッパではゴシック系の音楽というと、ゴシックメタルだけでなくインダストリアル・ミュージックや80年年代のポストパンクでのゴシックロックの流れをくむ音楽と幅広いものを指します。
つまり、ゴシックは単にメタルのサブジャンルの一つではなく、暗い世界観、退廃的、耽美的な雰囲気を持つ音楽全般をさすようです。
そこでキリスト教の「原罪感」から暗い世界感を好む精神的風土があるヨーロッパ人にとっては、ゴシックは心酔するべき世界観をもった音楽なのです。
それに、引き換えに日本はキリスト教の文化がないため、ゴシックの世界観が理解されず、ただメタルのサブジャンルの一つとしてのみ捉えられれました。
しかも、ゴシックメタルを、エクスストリームメタルの一派として紹介されたため、メロディを重視する多数のメタルファンは拒否反応を起こしました。
また、エクスストリームメタルファンからは、暗いだけで激しさがあまりないので、退屈なメタルと思われました。
また、ゴシックメタルの叙情性やドラマティックなところに惹かれたリスナーも、(ライブ向きのメタルではないため)スタジオ版のCDを聴くだけにとどまりました。
概ね、そのようなことが理由だと思います。
②女性ヴォーカルメタルの人気が日本でいま一つの理由
女性ヴォーカルメタルは日本では中途半端な位置にあることがまず理由としてあげられます。
まず、メタルファンからは、メタルは男のもの、女性ヴォーカルなんてという考え、また女性ヴォーカルメタルは全般的にメタルとしては激しくないのでもの足りないと思いがちです。
また、一般の女性ヴォーカルファンは、メタルはうるさい音楽という認識で、それがたとえ女性ヴォーカルであっても敬遠されてしまいます。
また、日本のメタル関係のマスコミも、あまり積極的に取り上げなかったことも原因の一つです。
それでも、2000年代も後半に入ると次第に女性ヴォーカルメタルは認知されだしました。
2010年代にはいると、日本でもライトブリンガーなどの女性ヴォーカルメタルバンド、アルディアスを筆頭としたガールズメタルバンドが続々デビューして活況を示しています。
しかし、結果としてフィメールゴシック、フィメールシンフォニックは脇へ追いやられる形となりました。