前回は、ARSNOVAのバイオグラフィーを紹介しましたが、今回はディスコグラフィー、おすすめアルバムを紹介していきたいと思います。
①ディスコグラフィー
1)オリジナル・アルバム
1992年「フィア・アンド・アングザイティ」Fear & Anxiety
1994年「トランシー」Transi
1996年「黄泉の女神達」The Goddess of Darkness
1998年「死者の書」Reu Nu Pert Em Hru / The Book of The Dead
2001年「アンドロイド・ドミナ」Android Domina
2003年「バイオジェネシス」BIOGENESIS
2009年「セブンス・ヘル」Seventh Hell
2)コンピレーション
1997年 Six Singular Impressions ベストアルバム
2001年 Lacrimaria 未発表曲集
2002年 Collectors’ Box ベストアルバム
2008年 Force for the Fourth -Chrysalis スタジオライブアルバム
3)DVD
2009年 Lake Of Tears
2009年 Seventh Hell Live ~ featuring Zoltan Fabian
2010年 Official Bootleg Live Female Trio 1996-2010 【DVD+CD】
2010年 BIOGENESIS Special Edition 2010 【DVD+CD】
2011年 Divine Night 【DVD+CD】
②音楽性の特徴及びその変遷
1)音楽ルーツ
ARSNOVA(特に熊谷桂子)の音楽的なルーツは基本的には、ELPやトレースなどのキーボード・プログレです。
それに加えて、バンコやゴブリンなどの、ヘビーなイタリアン・プログレからの影響もかなりあります。
2)音楽性の特徴及び独自の世界観
まず曲はインストメンタル(歌なし)で、キーボードのサウンドが全面に出ています。
かつ起承転結がはっきりせず、つかみどころなく曲が展開していき、演奏もかなりバタバタした感じです。また、雰囲気がダークでなにとなく薄暗いです。
また、熊谷桂子がオカルトやハロウィンが好きというということで、それがアルバムの世界観に反映されています。
それに加え、女子バンド独特の香水やワインの香りのような色香やロマンチズムを感じさせます。
上記の点で、いきなりプログレ初心者が聴くのはキツイと思います。好き嫌いが分かれるため、万人に勧められるバンドではないでしょう。所謂聴く人を選ぶということです。
しかし、その独自の世界観に魅力を感じ、はまると抜け出せなくなります。
3)メンバーチェンジにともなう音楽性の変遷
女子トリオであった5枚目の「アンドロイド・ドミナ」までは、キーボート・シンフォニック・プログレでかつ上記のような、独自の世界観、色香やロマンチズムを感じさせました。
しかし、男女混成バンドとなり、ギタリストが加入してからは、次第にヘビー・メタルの要素も加味されプログレ・メタル的なサウンドとなってしまいました。
演奏レベルが上がった、音に厚みが加わったなど、ポジティヴな声も多いですが、私個人としえはオリジナリティや独自の世界観、リリカルな叙情性などが希薄になった気がして、多少残念な面もあるかと思います。
③おすすめアルバム
ARSNOVAを全く聴いたことが無い人にまず1枚目のアルバムとして勧めるのは、
3枚目にワールド・デビュー作である「黄泉の女神達」または4枚目の「死者の書」です。
確かに、演奏や構成力やサウンドや整合性の面では、「バイオジェネシス」や「セブンス・ヘル」もおすすめですが、「黄泉の女神達」と 「死者の書」を聴いてから「バイオジェネシス」や「セブンス・ヘル」を聴いた方が、よりバンドへの理解が深まると思います。
④海外成功の要因
ARSNOVAは日本国内においては、吉祥寺のシルバーエレファントがやっとという感じのマイナーさです。しかし海外においては、フォーカスなどの大御所とプログレ・フェスタで共演するほどの人気です。
なぜ、国内より海外で人気があるのでしょうか?私なりの考えを述べてみたいと思います。
1)音楽性が日本人より外国人向きである。
例えば、つかみどころなく、ばたばたして終わってしまう所が、日本人向けでなく外国人向きだと思います。
2)あくまでインストで勝負した
日本のバンドが海外に進出する際に問題になるのは、歌の言語の壁(英語、日本語)であると思います。
歌のないインストロメンタルはその点では有利です。初めから海外進出を意識して、インストサウンドにしていたとしたら、かなりの慧眼だと思います。
3)女性だけのバンドが海外で珍しがられた。
このブログを続けて思いましたのが、日本と比べ海外では女性だけのバンドが少ないような気がします。(逆にいえば、日本で女性だけのバンドの多さは日本独自の音楽文化と一つといえます)その点が、海外で珍しがられ、人気が出たと思われます。
⑤最後に
2005年の後半より、女性のみのバンドから男女混成バンドへシフトし、それに伴って音楽性もハード・ロックやヘビー・メタルよりとなってしまいました。
私からすると女性のみのバンドであって欲しい、ハードよりシンフォニックであって欲しい、という拘りがありますので、多少残念ではあります。
それと、2009年以降約10年間新譜が出てないというのも気になっています。
ヌメロ・ウエノ氏が男女混成のバンドとなってやる気がなくなってきたのであろうか?
新しく入ってきた男性メンバーとの確執があるのであろうか?いろいろ考えてしまいます。
一日でも早く、新譜リリースを期待しています。