前回は日本の女性ロックアーティストの歴史として、90年代以前分を記述しましたが、今回は00年代以降を記述します。
①女性ヴォーカルHR/HMの復興とガールズメタルバンドの興隆
1)陰陽座による女性ヴォーカルHR/HMの復興
90年代に沈黙していた日本の女性ヴォーカルHR/HMシーンは陰陽座のデビューを起点として再び息を吹き返しました。
妖怪や日本の伝承を基にした独特のコンセプトや、美人で歌唱力の高いスーパーヴォーカリスト黒猫により、瞬く間に人気を博し、女性ヴォーカルHR/HMの復興の起爆剤となりました。
また、2003年に結成され、2005年にデビューした世良純子擁するALHAMBRAもシンフォニックでドラマチックな曲構成、卓越した演奏テクニック、なにより世良純子のパワフルさと美しさを兼ね備えたヴォーカルのより、高い評価をえました。
その、ALHAMBRAのメンバーであるベーシストhibikiと美人ヴォーカリストFukiを中心にLIGHTBRINGERが結成され、2007年にデビューしました。
また、女優やアイドルとして活躍していたANZAをヴォーカルにむかえたヘヴィロックバンドHEADPHONES PRESIDENTも人気を博しました。
また、90年代中盤に結成したガールズ・ハードロック・バンドAPHASIAも2003年にメジャーに移籍し、注目されました。
また、2009年には、宝塚出身の長身美人ヴォーカリストAkane LivをフューチャーしたLIV MOONがデビューし、話題と注目をあつめました。
一方ベテラン勢でも、SHOW-YAが2005年に再結成され、浜田麻里も音楽性をポップからHR/HM寄りに原点復帰の方向をしめしました。
それにより、一層女性ヴォーカルHR/HMの復興に拍車がかかりました。
2)ガールズ・メタルバンドの興隆
10年代に入ると、女性のメンバーのみのHR/HMバンドが多数デビューし、一大ムーブメントのような興隆となりました。
まず、Aldiousが2008年に結成され、2010年にデビューして、そのアゲ嬢ルックが話題となり、注目を集めます。
それに続けとばかり、CyntiaやMary’s Blood、DESTROSEなどのガールズHR/HMバンドがデビューし、シーンへの注目度が一気に加速しました。
2017年にはメンバー全員が才色兼備のLOVEBITESがデビューし、益々ガールズHR/HMバンドのシーンの勢いが増しました。
またAldiousを脱退したヴォーカリストのRAMIがRaglaiaを結成したり、DESTROSEを脱退した蛇石マリナが、Mardelasを結成して活動を開始しました。
LIGHTBRINGERは2014年末をもって、残念ながら活動休止してしまいましたが、そのヴォーカリストのFukiはDOLLSBOXXの活動を本格化し、ソロ活動も始めました。
マスコミやHR/HMファンは、初めこのムーヴメントに対して、どうせルックスだけだろう、2、3年もすればぽしゃるだろう、HR/HM全体のイメージや質の低下につながるから迷惑な存在だと、冷ややかに見ていました。
しかし、バンド個々がレベルアップして、数も増えてくると、無視できない存在となり、いままで女性ヴォーカリストをあまり取り上げなかったBURRN誌が積極的に取り上げる様になリました。
現在では、その増刊号に、女性ヴォーカル専用の刊があるくらいです(例METALION58号、60号)
3)アイドル文化とメタルとの融合
上記のガールズHR/HMバンドの躍進は、日本独自のアイドル文化とメタルとの融合の流れとなり、その最たるものが、3人組の女性がメタルをバックに歌ったり踊ったりするユニット、ご存じBABYMETALです。
海外ツアーをこなしていくようになり、もの珍しさも手伝い海外でブレイクしました。
②HR/HM以外のガールズバンド
00年代初期にはWhite Berryや中ノ森バンドなどメジャーシーンに食い込むガールズバンドが出現しました。
中期になるとチャットモンチーのような、オルタナティブだけどポップでキャッチーなバンドが登場し、次第にメジャーではないがアングラでもないようなバンドが主流となり、また音楽が多様化したこともあり、続々とチャットモンチーに続くガールズバンドが出現しました
その代表が、赤い公園、キノコホテル、SHISAMO、FLiPなどです。
日本の女性ロックアーティストの歴史(海外との共通点および相違点)に続く
日本の女性ロックアーティストの歴史(60年代~90年代)に戻る