日本の女性ロックアーティストの歴史(海外との共通点及び相違点)

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日本の女性ロックアーティストの歴史を一通り説明しましたので、そのまとめとして、日本の女性ロックアーティストの歴史と海外の女性ロックアーティストの歴史の、共通する点と相違点をまとめていきます。

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①共通する点

1)80年代に栄えた女性ヴォーカルのロック(特にHR/HM)が90年代に入り衰退し、00年代に入って勢いを盛り返した点。
すなわち洋楽・邦楽問わず90年代は暗黒時代であったこと。

ロック・ミュージックは大きく分けて、HR/HMやプログレシッブ・ロックなどのいわゆる構築型ロックと、パンクやグランジ、オルタナティヴなどのいわゆる破壊型ロックに分けられます。
80年代は構築型ロックが主流で、90年代は破壊型ロックが主流となります。そして、00年代に入ると再び構築型ロックが勢いを盛り返してきます。
結局、大体10年周期ぐらいでトレンドは逆転するという感じですね。

そこで、一つ疑問が生じてきます。
ロックシーンの移り変わりにおいて、日本は海外のシーンの移り変わりと連動しているのか。それとも、それに関係なくトレンドが入れ替え合っているのか?

〇連動していると思われる根拠

確かに、00年代初めまでは、連動しているというか、日本の女性ロックは海外の女性ロックの影響をうけ、それを自分のものしていました。
具体例としては、
・ジャニス・ジョップリンから麻生レミへの影響
・ランナウエイズからガールスへの影響
・ラモーンズから少年ナイフへの影響
・アン・ウィルソン(ハート)から浜田麻里への影響
・アラニス・モリセットから椎名林檎への影響
・アン・ウィルソン、アニー・ハズラム(ルネッサンス)から黒猫(陰陽座)への影響
などです。

〇関係ないと思われる根拠
・80年代音楽の衰退原因の相違
洋楽の場合は、グランジ・ムーヴメントやオルタナティブ・ロックの台頭など、いわいる外敵により衰退しました。

邦楽の場合は、SHOW-YAの失速や浜田麻里のポップへの転向、またただ単にあきられたなど、内的な要因が主です。

・00年代の復興のキーとなったバンドの音楽性の相違
00年代の女性ヴォーカルHR/HMにおいて、海外でのキーとなるバンドはナイトウイッシュやウイズィン・テンプテーションで、日本においては陰陽座です。

しかし、陰陽座の音楽性のベースはあくまで、ジューダス・プリーストやアイアン・メイデンなど80年代のクラッシック・メタルであるのに対して、ナイトウイッシュはシンフォニックなメタルにオペラティックなヴォーカルという新しい音楽です。

すなわち、同じ女性ヴォーカルHR/HMの範疇ではありますが、音楽性は異なっています。

〇自分としての考え
日本も海外も10年周期でトレンドが移り替わりましたが、海外から日本への影響はすくなく、むしろ偶然的な要素が多いと思います。
まあ、日本人は熱しやすく冷めやすい国民性ですので、外的な要因がなくても、10年でトレンドが移り替わるのでしょう。

②相違点

1)いまや、日本ではガールズバンドが大盛況だが、これは日本独自の現象です。
海外ではガールズバンドは少なく、むしろ女性のみのヴォーカルでバックが男性のバンドが主流となっています。

日本では、おなじみのSHOW-YAやプリンセス・プリンセスや最近でのBABYMETALなど、それこそ列挙するのがめんどくさくなるほど、たくさんあります。

しかし、海外で私の知っている範囲では、元祖であるランナウェイズ、ゴーゴーズ、バナラハマ、バングルス、ヴィクセン、ファントム・ブルー、インディカ、ヴァニラ・ニンジャなど数えるほどしか出てきません。

〇考えられる原因
海外でのガールスバンドのランナウエイズですが、日本での人気は上々で、日本のシーンにも影響を与えました。しかし、本国アメリカでは人気・評価ともさっぱりでした。

かたや、女性がヴォーカルのみで、バックを男性メンバーで固めた、フリートウッド・マックやハートやブロンディは、本国アメリカで人気や評価をえました。

また80年代に入り、日本ではガールズバンドの走りであるZELDAや少年ナイフがデビューし、80年代後半になるとSHOW-YAやプリンセス・プリンセスなどがメジャーとなりました。

80年代時点で、日本ではガールズバンドが主流で、海外では女性ヴォーカル、バックは男性メンバーのバンドが主流という土壌ができていたと考えられます。

2)なぜ日本ではヴォーカルのみ女性のバンドや男女混成が育たないか?

日本、というより東洋では、女王様を男性臣下がサポートする文化がありません。

西洋では、たとえはイギリスでは、エリザベス女王やヴィクトリア女王、オーストリアではマリア・テレジアなど女帝や女王がたくさんいます。
日本では、女性の天皇がいましたが、存在感がいま一つです。
まあ、日本に限らず東洋では、西洋にくらべ女性の地位が低いのでしょう。

そのような歴史的な背景から、女性ヴォーカリストが中心で男性メンバーがバックをサポートする形態のバンドは育ちにくいのだと思います。

また、ガールズバンドより、ヴォーカルを歌唱力のある女性が専念して、バックを演奏力のある男性メンバーの形態にしたほうが、バンド全体のパフォーマンスは上がります。

したがって、バンドにプロフェッショナル性を求める海外においては、ヴォーカルのみ女性のバンドが主流ですが、日本ではガールスバンド独特のいたなさ、アイドルぽいところが受けています。

それと、最近では、男女混成バンドが増えていますが、どれもあまり長続きしていません。
とくに、女性一人、男性二人の三頭体制のバンドはそれが顕著です。
考えられる理由は以下の記事にまとめていますので、参考にしてください。

LIGHTBRINGERの活動休止で思うこと

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